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はじめに:ここで書けること、書けないこと

冬になると、あったかインナーを着た日だけ肌がむずむずする、という声があります。ヒートテック®などの名前で売られている機能性インナーは広く使われているので、同じことを感じている人も、まったく平気な人もいます。感じ方には大きな個人差があります。

このページは、繊維の一般的な性質にもとづく整理です。医療的な助言ではありませんし、原因を特定するものでもありません。症状が続く場合や、皮膚に見た目の変化がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。ここで扱うのは、タグを見て確かめられる範囲の話だけです。

機能性インナーの中身を、タグの組成表示から読む

まず、着ているものが何でできているかを確かめます。家庭用品品質表示法にもとづく組成表示は、消費者庁が定めた指定用語で書かれていて、繊維の名前は勝手な言い換えができません。あったかインナーとして売られている製品の多くは、次のような繊維を組み合わせた混紡です。

割合は製品ごとに違います。「あったかインナー」という同じ売り場の言葉でも、ポリエステルが主体のものと、綿を多く含むものでは中身がかなり違う、という点がまず出発点になります。

物性の側から見ると、何が起きているか

繊維そのものに刺激する力があるかどうかではなく、汗の残りやすさ・摩擦・生地の硬さという物性の組み合わせとして見ると、整理がしやすくなります。『人間生活文化研究』2017年27号に収録された研究では、次のことが報告されています。

3つ目が重要です。「化学繊維だから肌に良くない」という単純な話ではありません。綿でも生地が硬ければ同じことが起こり得る、と同じ研究が述べています。実際、公定水分率(JIS L 0105:2020 で定められた、温度20℃・相対湿度65%の標準状態での値)を見ると、ポリエステルは0.4%、綿は8.5%と大きく違いますが、この数字が示すのは水分を含みやすいかどうかであって、肌当たりそのものではありません。

もうひとつ、冬は重ね着が増えるぶん、布と肌、布と布がこすれる回数が増えます。同じインナーでも、上に何を着ているかで摩擦の量は変わります。

同じ「あったかインナー」でも中身は違う

売り場の呼び名は同じでも、組成はかなり違います。本サイトのチェッカーには、代表的な組み合わせを一般名と組成のまま4種類置いてあります。

同じ「暖かいインナー」の棚にあっても、綿混タイプは吸湿性の高い繊維を含み、標準タイプは疎水性の合成繊維が主体になります。手元のタグに書かれている繊維名を見れば、自分が着ているのがどちらに近いかはすぐ分かります。 本サイトには繊維ごとの解説ページを14枚置いていて、公定水分率と帯電の傾向を出典つきで確かめられるようにしてあります。タグに知らない繊維名があったら、そこから引いてみてください。

なお、混紡の判定は「組成に含まれる素材のうち、相手からいちばん離れる側の値」を代表として行っています。実際の配合比率は製品ごとに違うため、控えめではなく厳しい側の結果が出る、という前提で見てください。

見直せる選択肢

いずれも「こうすれば起きなくなる」という話ではなく、条件を変えてみる選択肢です。

手持ちの組み合わせを確かめる

いま着ている「インナー+トップス+アウター」を選ぶと、静電気の起きやすさ・季節の向き・肌当たりで挙げられている注意点を、一度に表示します。判定に使っている値には、すべて出典と確認日を付けています。

機能性インナーは、一般名と組成(たとえば「あったかインナー(標準)=ポリエステル×アクリル×レーヨン×ポリウレタン」)でそのまま選べるようにしてあります。手元のタグと見比べながら選んでみてください。

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