物性データ

表示している値には、すべて出典と確認日を付けています。「確定」「傾向」「諸説あり」は、 その値がどれくらい固い根拠にもとづくかの区別です。

ダウン(羽毛)を知る

ダウンとフェザーは、別のもの

まず用語から。東京都クリーニング生活衛生同業組合の解説によれば、中綿とは布団・コート・寝袋・まくらなどの中に入れる詰め物のことで、天然繊維の中綿としてはダウン(ワタ羽)とフェザー(羽根)が代表的です。そして一般的に、この二つは混合して使われます。

消費者庁の指定用語表でも、羽毛は「ダウン」「フェザー」「その他の羽毛」に分けて指定用語が定められています。「ダウン90%・フェザー10%」といった表示は、この区分に沿ったものです。同表には、2022年(令和4年)9月20日付で羽毛用語・羽毛試験方法に関するJIS(L0216、L1903)が改正され、組成繊維が羽毛の分類に該当する場合はその規格に基づいて種類を判断するように、という注記も付いています。

暖かさのしくみは、空気を抱えこむこと

同組合は、天然繊維の中綿について「ふわふわとした羽や毛の繊維の間に空気を包み含ませることで保温性を高める」と説明しています。これは化学繊維の中綿でも同じで、ポリエステルわたは繊維の中を空洞(中空繊維)にすることでボリュームを出しながら軽くし、その空洞に空気を含んで保温性を高めています。

暖かさの正体は、羽毛そのものではなく、羽毛が抱えこんだ空気です。ここを押さえておくと、次の話が分かりやすくなります。

数字は「ふくらむ力」を測っている

羽毛の品質を示す数字として、日本では「ダウンパワー(dp)」が使われています。日本羽毛製品協同組合の説明によれば、ダウンパワーは羽毛のふくらみを数値化したもので、羽毛にふとんの中と同程度の圧力をかけたときの、羽毛1gあたりの体積(cm³/g)の数値です。測定にはJIS L 1903のかさ高性試験方法が使われます。

つまり、この数字が直接測っているのは温度ではなく体積です。同組合は「羽毛は大きく膨らんで空気を含むことで高い保温性を発揮します。同じ羽毛量でもダウンパワーが大きいほど膨らみが大きく、保温性がよくなります」と説明していて、ふくらみ→空気→保温という順序で効いてきます。数字が大きいほど暖かい、ではなく、数字が大きいほどふくらむと読むほうが正確です。

同組合はまた、2012年(平成24年)4月1日から、評価基準がそれまでの「かさ高(mm)」から「ダウンパワー(cm³/g)」へ変わったことも記しています。高さではなく体積で測るほうが、ふとんの中での実際の使用感に近いという理由です。

具体的なラベルごとの基準値は、このページの「等級のものさし」にまとめています。

その基準は、羽毛ふとんのもの

ここは誤解しやすいところなので、はっきり書いておきます。同組合のゴールドラベルは、日本国内で製造された羽毛ふとんに発行されるラベルです。同組合のページにも、加盟できるのは日本国内に製造設備を持つ羽毛ふとんメーカーであり、ゴールドラベルは日本で製造された羽毛ふとんのみに発行される、と明記されています。

したがって、ダウンジャケットを買うときにこの数字がそのまま当てはまるわけではありません。衣料の売り場で見かける「フィルパワー」は単位の異なる別の指標です。羽毛の品質を語る数字が一種類しかない、と思っていると読み違えます。

濡れると弱い、という決定的な性質

同組合の解説では、天然繊維の中綿は軽くて暖かく、保温性・吸湿性・透湿性・圧縮回復性を持ち合わせている一方、家庭での洗濯やケアがしにくいことが挙げられています。ダウンやフェザーは乾燥に時間がかかるうえ、ボリュームがなくなると機能性が低下するため、基本的には家庭で洗うことができません。

さらに、ダウンコート類は風を通しにくい生地が使われていることが多く湿気がこもりやすいため、雨に濡れたり汗をかいたりした後の乾燥が不十分だと、機能性が落ちるだけでなくカビが発生してしまうこともある、と注意されています。

化学繊維の中綿は水に強く乾燥も速いため自宅で洗えるものもありますが、重さ・保温性・吸湿性・透湿性・圧縮回復性など総合的には天然繊維のほうが優れている、というのが同組合のまとめです。両者のいちばんの違いは「水で洗えるかどうか」だとされています。

静電気の面では、プラス側に寄せて扱っている

ダウンは帯電列の一次資料に個別の記載が見当たらない素材です。本サイトでは、ウールやシルクと同じたんぱく質系の繊維であることから、プラス側に寄せた傾向値として扱っています。試験値ではなく、より静電気が起きやすい側に寄せた整理であることを、物性データ表にも明記しています。

なお判定は中綿の性質にもとづいており、実際のダウンジャケットの表地はナイロンやポリエステルであることが多い点にはご注意ください。

向いている服・気をつけたい場面

真冬のアウターが得意分野です。雨に長時間さらされる場面では、濡れることでふくらみが減る性質が出やすくなります。重ね着の組み合わせは、チェッカーで確かめられます。

等級のものさし — ダウンパワー(dp・cm³/g)

等級は「上か下か」ではなく、何をどう測った値なのかで見てください。下の区分に入るものが劣っているという意味ではありません。

日本羽毛製品協同組合の品質ラベル基準

区分ダウンパワー(dp・cm³/g)補足
プレミアムゴールドラベル440dp 以上ダウンの混率 93% 以上
ロイヤルゴールドラベル400dp 以上ダウンの混率 90% 以上
エクセルゴールドラベル350dp 以上ダウンの混率 80% 以上
ニューゴールドラベル300dp 以上ダウンの混率 50% 以上
シルバーラベル250dp 以上ダウンの混率 50% 以上
ブロンズラベル200dp 以上ダウンの混率 50% 以上

ダウンパワーは、ふとんの中と同じくらいの圧力をかけたときの羽毛1gあたりの体積(cm³/g)で、JIS L 1903 のかさ高性試験方法で測ります。2012年4月1日に、それまでの「かさ高(mm)」からこの単位へ変わりました。この基準は日本国内で製造された羽毛ふとんに発行されるラベルのもので、衣料のダウンに適用されるものではありません。衣料で見かける「フィルパワー」は単位の異なる別の指標です。

ほかの素材と重ねたときの静電気の傾向

帯電列の上で離れた素材どうしがこすれるほど、静電気は起きやすい傾向があります。この表は2枚を重ねたときの目安です。3枚以上の重ね着は、チェッカーで全部の組み合わせを見て判定できます。

重ねる素材静電気の傾向
綿中間
麻(リネン)中間
ウール起きにくい傾向資料により見解が分かれます
カシミヤ起きにくい傾向
シルク起きにくい傾向
レーヨン中間
キュプラ中間
モダール中間
リヨセル中間
ポリエステル起きやすい傾向
ナイロン起きにくい傾向資料により見解が分かれます
アクリル起きやすい傾向

点数や順位は出していません。帯電列は資料によって並びが変わることがあり、精密な点数として扱える性質のものではないためです。

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